神河町でご縁をいただいたカジヤノさんから、今年の新米をいただきました。
4年生の息子は、焼肉一枚で米2合を食べられるほどの“お米好き”。
「自宅用にどうぞ」と譲っていただいたのですが、ひと口食べて驚きました。
思わず「お店でも使わせてください」とお願いし、
10月早々の時期に、完売ギリギリで購入できました。
やっぱり“本当においしいお米”は皆さんよくご存じですね。
カジヤノさんのお米は、無農薬で育てるために土づくりから徹底的に研究されているそうです。
数年にわたり試行錯誤を重ね、失敗も成功への糧として積み重ねてこられた結果──
今年のお米は特に粒が大きく、味も格別。
スーパーやネットショップで、食べたいときに欲しいものがすぐ手に入る便利さ。
手間を省き、時間を短縮し、家でも手軽にプロの味が楽しめる時代になりました。
けれど、田んぼの中でお米が育つ姿を目の前にすると、ふと立ち止まります。
揺れる稲穂になるまでに、どれだけの日々が流れ、
どれだけ多くの人の手が加わっているのか。
そして、太陽の光、雨、風……
自然のすべてが一粒の中に詰まっていることに気づかされます。
「いただく」という行為への感謝が、静かに胸の中に広がっていく瞬間です。
こうして自然と向き合う時間を重ねるほどに思うのです。
最終的に心が動くのは、やっぱり素材そのものの味だと。
ただシンプルに炊いただけで「おいしい」と声が漏れるような、あの幸福感。
旬のものを旬にいただき、その背景にある自然や人の営みに思いを馳せること。
その豊かさを、息子にも伝えていきたいと改めて感じています。
神河町での収穫祭は、今年の秋もまだまだ続きそうです。
自然と寄り添い、人の手で育てられた農産物と向き合う時間。
この地域での学びは、私たちの食卓を、そして生き方を、少しずつ豊かにしてくれます。
瓢亭fukube 女将 白倉 夏須美